ドラマ第2話「落とす女、落とせない女の巻」2019/08/04 13:22

織子さんは、現場のノリと盛り上がりを大事にする人です。
女性で、ある程度の地位にいる人にはよくいるタイプで(もちろん男性にもいる)、予定調和よりも出たとこ勝負で、リアルな空気感を追求する。

取材で前もって質問を送っておかないのは、その場で出す答えを聞きたいからだし、
予備の衣装を用意するのは、赤か青かはその場で決めたいから、
撮影で差し入れをたくさん用意するのも、現場のノリのため。

恐ろしく勘がよくて、理屈よりも勘で行動してる。
人がどうしてそうしたのかと聞いても答えられない。
てかそういうのどうでもいいと思ってる。赤のほうがいいと思ったから赤なのよ、これで押し切る。

理不尽に見えるけど、結果は出す。
これがすごいところ。
だから、誰も文句を言えない。


織子さん、好きなんですよ。
仕事をしていると、勘て大事だなーと思います。
経験則と才能ですね。
森若さんも、予定調和が好きなように見えて、実は勘で動いているようなところがあります。


ドラマで言えば織子さん、勝手にあれこれやるけど、森若さんにも太陽くんにも、強く言われれば譲ってますよね。
あれも好きなシーンです。
感情的にみえるけどそうじゃない。自分の変なプライドのために仕事をしているわけでもない。
譲ったのは、理屈よりも情熱に負けた結果じゃないでしょうか。太陽くんだったら、「これは俺の仕事です!」って部分。
あー織子さん、ちゃんと織子さんだわーと思いました。

織子さん、スタイルすごくよくて、ワンピースも素敵だったなあ。
デスクの後ろにジョーバと健康器具があるの笑ってしまいました。
きっと何かにかこつけて会社のお金で買ってるし、部長がジョーバ乗るのも初めてじゃないでしょ。慣れてたもん。
そういう会社。それがリアルに想像できちゃって。細かいけどすごい面白い。

こういうの脚本だとわからないんですよ。
台詞も小説より少ないし、エピソードも簡略化されがちなので、
これは……いい……のか?って感じになる。
初期は脚本チェックするときにカフェに行って、場面を想像しながら一生懸命読んで、やっぱりわからなかったりしたもんです。
脚本には太陽君がボックスステップ踏むなんて書いてないですから。
私は文章がすべてなので、どうしても脚本で判断しがちですが、役者と演出と小道具とか、いろいろなものの説得力があるんですね。


他にもいろいろありますが、ひとまずはこれくらい。
来週も楽しみです!

ドラマ第3話「逃げる男」2019/08/11 16:56

第3話も面白かったです!

ドラマ第3話のエピソードは、小説だと2巻の第3話「気にしないでいいよ、おごるから。出張手当入ったから!」と、
3巻の第2話「逃げるなよ?絶対に逃げるなよ?」になります。
山崎さんは5巻第2話、「カラークリスタル」で主役になっています。
馬垣さんは、5巻第4話、「それでもあたしは男っぽい女」にも出てきます。

馬垣は原作屈指のクズ男です。
性格はおそらくそれほど悪くない。でも無責任。
持っているボールをポイとどこかに捨てる人です。面倒だから、やりたくないからっていう理由だけで。
馬垣のエピソードを書いてみたのは、彼のような人を理解したかったというのもあります。

理解できなかった……。

これまでにも「幸せ戦争」で逃げる男を書いたことがあるんですが、やっぱりわかったようなわからないような、という感じです。
なんで逃げるんだろう?なんで、突き当たりが行き止まりだってわかっているのに、一見楽そうだからってだけでその道を行くんだろう?
勇気がない、キャパシティーがものすごく狭い、叱られることがものすごく苦痛で、目の前の叱られるという苦痛から逃げるためなら、常識も良心も吹っ飛ぶし、将来のことなんてどうでもよくなる?
刷り込み、条件反射みたいなもので、狡いとか性格や頭が悪いというのとも違うのかなと思ったりもします。


逃げるというのも生きるスキルのひとつです。褒められるようなことではないですが、自分を追い詰めるくらいなら逃げればいいと思っています。
演じてくださった岡崎さんはミステリアスでした。馬垣はきっと、一部の人には一目置かれているのでしょう。負の方向かもしれませんが。
たぶん彼には何かある。そう思いました。


馬垣はスピンオフでもう一回書きたいです。
誰かを理解したくて小説を書く、というのはたまにやりますが、やはり男性は理解しにくいです。
男性は女性よりも刹那的で、良くも悪くも爆発力があると思うんですが。どうしてもわからない感覚があります。

他にも、真夕ちゃんも太陽も逃げないよなあ、素直なのってすごい強いことだなあとか。
やっぱり新発田部長はいい上司だなあとか、早朝出勤してくれる経理部員のチームワークもいいなあとか、
「馬垣!」って吉村部長が怒ったとき、私ちょっと感動したんだよね。
みんな馬垣には触らないようにしていたと思う。面倒くさいから。だけど吉村部長は本気で怒って、一緒に謝った。
吉村部長は逃げない男だったわ。
やっぱり部長ズはいい。


あと、Twitterのほうで書きましたが、営業部のエース山崎さんと山田くん、女子たちにダブルマウンテンと呼ばれています。

「聞いて聞いてマウンテンが!」
「どっちの山? 前髪長いほう? 紫外線強いほう?」


これ思いついたんで、書かずにいられなかった。
営業部きってのイケメンエース2トップでも、ロッカールームの女性たちにかかったらこんなもんでしょう。
総務部ガールズ可愛いです。

ドラマ第4話「女の明日とコーヒー戦争」2019/08/17 23:03

今回も面白かったです!

ドラマ第4話、エピソードの出自は、小説2巻第2話「女には女の戦いがある……らしい……」と、3巻第4話「困ったなー。仕事もらえるなら、貸してあげてもいいけど?」になります。
平松由香利さんは5巻第3話「ゾンビと嘘と魔法の笛」で主役の短編があります。


小説読者の方はおわかりだと思いますが、小説では窓花さんと由香利さんは仲良しで、対立するのは志保さんという女性です。
志保さんはドラマでは登場しません。
志保さんは理想の思想みたいなものを持っていて、自分が理想に追いついていないのでいつもイライラしていて、ひりひりする子でした。
ドラマではわかりやすく簡略化しつつも、テーマを外さない物語にしてくださったと思います。

由香利さんは私はけっこう好きなキャラクターです。
一見地味だけれども彼女がいないと仕事がまわらない、という優秀な事務員
ドラマでも、セミナー云々はともかく、平松さんが仕事ができるということはよくわかった。
森若さん同様、「総務部の平松さん」はあちこちの会社にいると思います。

三並さんとの確執は、もうちょっと丁寧に書きたかったのですが、本編でも短編でもぼやけてしまったかな。
女性同士の友情っていうのは私が書きたいテーマのひとつです。
永遠に交わらない平行の線みたいなイメージがあります。


次週は男の友情。勇さんと熊井さんの回です。

パーチメント2019/08/21 10:39

知人からドラマ化のお祝いに、手作りのパーチメントをいただきました。
スタバカード付き。青いバラからインスピレーションを得たそうです。

A様、ありがとうございます。


書評家の大矢博子様が、「これは経費で落ちません!」のドラマに会わせた書評を書いてくださっています。
大矢様は「幸せ戦争」の解説も書いてくださっています。
そうそうそうなのよーと手をとりたくなります。

https://www.bookbang.jp/johnnysbookguide/article/832


ドラマ化にあたって、いろいろとめまぐるしいことがありました。
私は地味な人間だと再認識しましたが、
ドラマになったことで視野も広がったし、異業種のプロのクリエイターの方々とお話できて、とても勉強になったと思います。
創造的な能力のある方は独特のエネルギー、魅力があります。作家だとひとりなのだけど、ドラマだとそれが大人数になって、倍々で増幅されていく感じ。なんだろうこれは、と思いながら圧倒されました。


エレベーターでもっと話したかったんですよ。いっぱい言いたいことがあったんですよ。
勇気出して、仲良くなった方ともっとお話してみようかなとか思います。


とはいえ、私はマイペースで、ひとりで仕事するしかないわけですが。
大人数の才能が集結して作り上げるものもあれば、ひとりがじっと内側に向かってつきつめていく創造もあると思います。
考えるまでもなく私は内側向け。縮み思考です。


久しぶりにスタバで小説を書こうかな。
ムースフォーラテが好きなのです。

第5話「流される男の話」2019/08/27 09:59

ドラマ第5話のエピソードは、小説だと第2巻の第4話、「これは本当に経費で落ちません!」です。
勇さん主役の話で、続編にあたるエピソードは第5巻の第5話、「三十八歳の地図」にもあります。

このエピソードは珍しくはっきりした事件です。
シリーズ化が決まって考えているうちに、こういうのも書きたくなっていました。
1巻のあとで担当さんと、男38歳っていろいろあるよね。女だってありますよー、という話を飲みながらした覚えがあります。そのあたりからもきてるかな。
バックリベート以外にも、担当者の権限でできてしまう不正について調べていて、小さい不正てけっこうバリエーションがあるもんだなと驚いた覚えがあります。
書きたいけど、この会社大丈夫なのか?と思われそうで書けない。
天天コーポレーションはいい会社なのです。


森若さんの入社二年目の過去はドラマオリジナルです。
これがあって今の森若さんがある。という作りですね。なるほど、ドラマではこうやって説得力を持たせるのかと思いました。
熊井さんの奥さんの「ありがとう」の対比にもなっていました。
あれで、奥さんは聡明な人で、きっと熊井さんを支えていくんだろうということもわかったと思います。
そして勇さんの複雑な感情も。森若さんは救われるでしょうが、勇さんにとっては自信のぐらつく言葉であったと思います。


ドラマは折り返しをすぎました。
脚本は読んでいるのですが、放映時間になるとドキドキします。